毎日連載中|夫婦世界一周エッセイ

実家で食べる、正月ごはん

はじめに

あけましておめでとうございます。

本年も草作のブログをよろしくお願いします。

皆さんは毎年、年越しをどのように過ごしていますか?

海外に行く人、初詣で迎える人、渋谷で盛り上がる人…様々だと思います。

僕とフウロは、当初の予定では2019年1月1日をニウエで迎える予定でしたが、旅程を早めたことで日本で迎えることに。

いつものように、僕の実家で母のお手製ごはんを食べることになりました。

我が家のおせちはスクラップ魔の母が新聞の小さな記事を参考に作ったものや、祖母のおせち料理を昇華させて我が家の味になったもの。

おせちと呼ぶには抵抗があり、通称は「正月ごはん」としています。

縁起に添って料理を作るのももちろん大事ですが、よくよく考えれば、この料理数を今年もしっかり作りきれたということ自体が縁起が良いので、好物のものは縁起関係なく作ったりしています。

今やコンビニでもおせちが買える時代。

実家の近くでは1月1日から横濱ラーメンの駐車場がいっぱいになって、価値観も多様化しています。

それでも、僕とフウロは(とくにフウロは)正月だからこそ食べられる味が大好き。

そんな我が家流の正月ごはんを紹介したいと思います。

MEMO
我が家の正月ご飯は従来のおせち料理のルールを“かなり”無視しています。あくまで正月に食べてる通常のごはんとしてご覧いただければ幸いです

重箱の正月ごはん

我が家の重箱に入ることを許された料理たちを紹介します。

重箱 ①

イクラ、昆布巻き、ゆり根の段です。

イクラは兄がふるさと納税で貰った北海道産のもの。

容器を探していたらちょうどいい具合にユズをくり抜いたものが家にあったらしく、スッポリ収まりました。

昆布締めは、昨年両親が京都五条で購入してきた昆布巻き専用昆布を使用。

どうやら、出汁用の昆布に比べて分厚い昆布だそうです。

そのおかげか、昆布が溶けることなく姿で残っていて歯ごたえもありました。

ゆり根は毎年家で染めています。ゆり根の味をしっかり味わえたことは人生で一度もありません。

重箱 ②

次の重箱は数の子、栗の渋皮煮、クワイの素揚げ、黒豆・チョロギの段。

数の子は数々の遷移を辿り、最近は小ぶりのものに落ち着きました。

個人的には大振りのものよりも、小ぶりの方が歯ごたえもちょうどよくて好きです。

栗の渋皮煮はニューカマー。

今までは栗きんとんが定番でしたが、昨年評判が良かった栗の風味を生かす渋皮煮が正月ごはんに昇格。

母が市場で買ってきたらしい栗は見たことがないほど大きく、家族の評判も上々。

クワイは、僕の好物の一つ。

クワイは、オモダカと呼ばれる水生多年草のこと。

目が勢いよく伸びるところから、「芽出たい=めでたい」ということで、おせちに入れられるようになったそうです。今まで知らなかった…。

これを素揚げにすると絶品です。

今まで煮付けにしていましたが、あまり評判がよくなかったため素揚げにしたところ人気が上昇し、今やクワイ=素揚げが当たり前になっています。

食感は長芋や里芋を揚げたようなホクホク感があり、風味がなんとも言えません。

が、このクワイ。年々関東のスーパーでは取り扱いが減っているのか、今回のクワイを入手するために母は方々のスーパーを駆け回ったとか。

イオンにだけはこのクワイがあったそうです。ありがたや。

黒豆とチョロギも我が家の定番。

我が家には、黒豆のこの黒さを出すために30年以上使っている釘があるそうです。

母曰く「通常の黒豆の調理時間を凌駕する超時短で作っている」らしいのですが、従来の黒豆の作り方で作るよりも家庭内の評判が良いという不思議さ。

そして、チョロギ。

こちらはシソ科の多年草。その根っこにつくウネウネの茎を酢漬けしたもの。

「今の人たちはチョロギを知らない」と親がいつも嘆きます。

正月に毎年登場するのでなんとなく知ってはいましたが、チョロギが育つところは見たことがありません。

今度育ててみようかな。

重箱 ③

次の重箱はかまぼこ、銀杏、伊達巻の段。

かまぼこは縁起よく紅白。切れ目を入れて模様を入れています。

銀杏は地元のもの。伊達巻もいつもの定番です。

いつも当たり前のように実家に帰ると、冷蔵庫から次から次へと出来上がったご飯が出てきて、僕たちはそれを重箱に盛り付けたり、最後の仕上げをするだけ。

正月ごはんを手作りすると、途方もない時間がかかります。

作り続ける中で工夫され、時短が生まれ、味が安定していきます。

そういえば、この伊達巻もいつの間にか実家のスタイルが確立し、味の幅がなくなりました。

正月ごはんはそのまま母の人生の象徴のようなものに思えます。

重箱 ④

最後の重箱には、しいたけと人参の煮物、田作、たけのこ、辛子蓮根。

しいたけの煮物を見ると、日本の繊細さに感動します。

海外のスーパーではいくら探してもこんな形の整ったきのこはお目にかかれない。

帰国してからというものの、日本人の神経が「悪いもの」のように感じられることが多い毎日でしたが、ここに関してはこれは細やかさとして誇れるものだなと感動しました。味も素晴らしい。

僕にとって田作こそ「母の味」

5歳のころ近くの児童館に預けられていた時、母が託児の人によくレーズンと田作を預けていました。

30年あまりの田作つくりを経て、もはや母の田作は田作を超えた別の料理に進化しています。

一切べたついていないけれども、甘みがしっかりついているこの田作は、レシピを教えて欲しいと言われることもあるとか。

この田作を食べると、どこかほっとします。

そして、一昨年からのニューカマー辛子蓮根。

ストレートに縁起物ではないようですが、おせちに使う家庭もあるとか。

本来であれば、丸のままのレンコンに白味噌からしを練りこみ、レンコンの周りに衣を付けて揚げ…といろんな過程がありますが、切ったレンコンにからしを詰め込んで完成。

ただ、このやり方だとねりからしをそのまま大量に摂取するのと一緒になるので、食べた瞬間恐ろしいほどの辛味に家族一同頭を抱えました…

そのほかの正月ごはん

重箱に収まり切らなかったごはんを紹介します。

お雑煮

昆布・鰹節・アゴ・カニで取った出汁に、菜の花、水菜、エビを入れ、アクセントにゆずの皮を添えています。

今年は猪年なので、ゆずの皮で正月らしさを加えました。(この猪はフウロ製)

タコとコハダ

タコはサメ皮で下ろした本わさびと一緒に。

コハダは、買った時には黄色い粟がなかったそうで、ソバの実で代用。好評でした。

ヤツガシラ

ヤツガシラはもともと家族内では不評の正月メニューでした。

食感がガシガシして生っぽく食べづらい。

ところが、数年前にしっかり煮込んでからは、「ヤツガシラってこんなに美味しかったのか!」と評価もうなぎのぼり。

世界一周をしてからこのヤツガシラを食べてみると、タロイモそっくりだなという印象。

土台がタロイモ。

タロイモも中心に火が通るのに時間がかかるため、じっくり蒸したり煮たりして食べます。

調理方法を聞かないとうまく調理できないような上級野菜です。

キムチ

兄のお嫁さんが好物ということで追加されたメニュー。

にんにくが強すぎると他の料理の邪魔をしてしまうということで、母の秘蔵のにんにく醤油と、青唐辛子の麹漬けで作ったキムチ。

にんにく臭が限りなくゼロに近いけれど、しっかりキムチ。

こちらも大好評でした。

松前漬け

僕と兄の子供の頃のお菓子は「スルメ」。

レンジでチンをしてはガブガブ噛んでいました。

そのスルメを使った正式な料理というものを大人になるまで知りませんでしたが、松前漬けこそスルメが最も活きる料理。

正月が終わって母が「お土産に」と持たせてくれる松前漬けが新年の楽しみになりつつあります。

おもち

最後はやっぱり、おもち。

もう20年以上使っている家庭用お餅製造機で作られた、その姿からは想像もできないほどの重量の家のおもちを食べると、味と一緒に僕が生きてきた歴史を感じます。

思いっきり焼き焦がした年もあれば、生焼けの年もあり。

おもちを食べることが、年が明けたという気持ちにさせてくれます。

ついでに大晦日ごはん

大晦日ごはんを少しだけご紹介します。

綺麗に盛り付けた後焼き不足が発覚したターキー

春菊は自家製。揚げるのがうますぎて感動します。

我が家で作った燻製チキン。好評でした。

我が家製のいぶりがっこもどき。マヨネーズと合います。 

さいごに

今回は2019年の正月ごはんを紹介しました。

昔の人たちは、一年の始まりのごはんにいろんな想いを込めて食べていたのだろうなと思います。

遠くから普段食べられないものを取り寄せ、正月だけは休められるように日が持つ料理を作り。

時代は変わって、僕たちは自由に美味しいものを食べられるようになりました。

でも、そんな時代だからこそ「心と時間を込めた料理」に出くわす機会が少なくなったように感じます。

世の中が決められる料理の正解というものはきっと無く、ご飯を食べる人たちの中にあるものではないかと思います。

今年も舌も心も美味しいご飯をフウロと作りながら、その価値を少しずつでも伝えていけたらと思います。

本年もどうぞよろしくお願いします。

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