毎日連載中|夫婦世界一周エッセイ

《音楽とエッセイ》車に乗ったらsam.stsのApplesauceを流そう

そう、あの風だ。

僕の家には、大音量で流すことが許される音楽が決まっていた。

それはたいてい真夏で、僕と兄を乗せたその車は、伊豆に向かっていた。

ベンチャーズのダイヤモンドヘッドは、僕と兄にとって、一年で一番楽しい数日間が始まる合図のような曲だった。

たいてい音量を大きくしすぎた父が母に怒られるところまで含めて、僕の真夏の淡くまぶしい思い出だ。

 

・・・

 

ぬるい午後。僕とフウロは一緒に机で作業をしていた。

PCからはIndie RockのRadioが流れていた。

Applesauceという名の音楽が流れた時、なぜか僕は、あの夏の日のドライブを思い出したのだった。

ベンチャーズとは似ても似つかない音楽だったけれど、風が似ていた。

まるで幻想の中をさまよっているような心地よい音楽が運ぶなまあたたかい風が、車の窓から手を伸ばした時に触れるあの日の伊豆の風のようだった。

sam.stsというバンドは、4曲しか発表されておらず、アルバムもない。日本語の紹介も見当たらない。

でも、その一曲がTOKYOという名前だったり、Applesauceでもドラゴンボールが好きだと言っていたり、なんだか知るべくして知ったような親近感を感じた。

僕にいつか子供ができたら、一緒に海に行ったら。

大音量でApplesauceを流して、車を走らせよう。

ゆかいな気持ちを乗せて、夢の先へと連れて行ってくれるような気がした。

 

 


Applesauce

2018/4/20

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