作業場を直して20代が終わった。

引っ越して5ヶ月になる我が家には、大きな作業場がついている。

いや、正確には脇っちょの建物を生活区域として活用しているというのが、周り近所の見立てだ。そのぐらいに我が家における作業場の存在感は大きく、可能性は無限大と言えるほど秘められているが、そのぶん手もかかる厄介な子である。

借りた時点では荷物はそのまま。雨漏りで断熱材がだらんと垂れ落ち、漏電ブレーカーが切れている状態で照明のケーブルが雨漏りによって生まれた水たまりに接触していた。

いつ何時、事件がおきてもおかしくない状況。大家さんよくこんな状況で貸したと思う。置いてあった冷蔵庫には真っ黒で虫がわいた手作りプリンが入っていたし、今年の寒波で水道管が破裂した。増築に増築を重ねた作業場はカオスな状況が生まれていて、なぜか作業場にトイレと風呂が3つある。

さて、例の如く電気は通っているものの、このまま作業場として使うにはあまりに勇気がいる状況だったので、本日ようやく電気屋さんが入った。

活かすものは活かしつつ、我々夫婦で新たな息吹を吹き込む。天井をとっぱらい露出した鉄筋を活用して、ダクトレールを敷いた。どんな形の建物でもレール敷いてスポットライトを付ければそれっぽく見えるアレだ。

ささっと二日間で工事は完了し、想定どおり、横浜の工場を改装して作ったギャラリーみたいな風貌になった。

柱についたガムテープや意味を成していない柱など、まだまだ手をかける必要があるところは数多あるけれども、昨年8月、建物の周りにびっしりと生えていたペパーミントをかき分け入ったときのあの作業場からは、見違える風貌だ。まずは良しとしよう。

あと2日で30歳になる。30歳になったとき、まさか自分が田舎の作業場つき一軒家で妻とあひると一緒に暮らしているなんて。20歳の誕生日には露にも思わなかった。そもそもあのときは映画監督になると思っていたのにな。

大学で100本映像を作り、大手企業に入って新規事業を立ち上げ、結婚して披露宴フェスをぶち上げ、世界旅行を引っさげ花火師を経験し、フリーライターにも片足を突っ込んだ20代だった。

初めて会った人にこんな自己紹介されたら胡散臭いなんてもんじゃない。なるほどねえ、20代って、イケイケだ。ヒカルパイセンの言うことは正しい。

「30代はほどほど。」を目指そう。

白か黒か赤か緑かとコントラストをはっきりさせるのではなく、混然としたグラデーションを愛でよう。結果が出ることもそうでないことも、長い目で見られる余裕を持ちたいし、結果がでないときにもやせ我慢できるようになりたい。

そしていつか、これが自分たちだと胸を張れるものを、この作業場とともに作れたらいいなと思っている。それは案外早いのかもしれないね。

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