毎日連載中|夫婦世界一周エッセイ

僕と□□□とシンクロのシティ 音楽とエッセイ

僕は東京生まれ、東京育ちだ。

とは言ってもいわゆる東京23区ではなく、大雨警報などの時には「多摩西部」と称される埼玉よりの端っこだった。

生まれた時からマンションで育ち、小学校から高校まで東京だった。大学からは埼玉の所沢に2年、そのあと念江古田で過ごした。乗った電車は全部野暮ったい西武線。

どストライクで東京を味わっていたかというとわからない。僕がもっとも遊んだのは池袋だったし、シティボーイになるタイミングも逃した。会社員になったら川越に住み、今も埼玉暮らしている。

僕にとって、最も心を揺さぶられる曲は木綿のハンカチーフやふるさとよりも、口ロロだ。

 

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僕の通っていた学校では口ロロを聴いている人はいなかった。

存在を知ったのはフウロと出会ってからだ。やけに先進的な音を奏でるグループだと思って、メンバーにいとうせいこうが入っているのを知って驚愕した。あの人まだ歌ってたのかと思ったものだ。(失礼すぎる)

何かがカチッとハマったような感じがしてずっと聴いたものだ。自分の中にある記憶をたぐり寄せるような、大切なものを引きずり出すような形で。

口ロロが日常に入り込んできたのは、花火の修行をするようになってからだった。

ラジオの音を聴きながらえんえん玉皮張りをしている時に、それは突然流れてきた。

小さい頃から親しんだ発車ベルの音に、ちょっと前まで毎日浴びていた喧騒、埃っぽい匂い。

15:00にTOKYO FMのシンクロのシティが始まり、口ロロのTOKYOが流れると僕の幼少期から26歳までの記憶が毎回フラッシュバックした。

山あいの杉林に囲まれていても、サハラ砂漠の真ん中にいても、僕に染み付いたものは消えない。僕の中にあるそれはずっと東京で、それを思い出させてくれる音楽は、口ロロだけだ。

 

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シンクロのシティが今週で終了して、最後のTOKYOを聴いた。終わりがくることが東京的だと思う。寂しさの上にまた新しいものが建っていって、いつかそんな寂しさがあったことさえも忘れていく。ずうっと忙しくて、歩みが早くて、振り返る余裕もないような焦りが取り巻いていたあの感じ。

僕の中に東京はあっても、心は他の場所にある。時々思い返して、ちょっと安心してまた自分の道を進む。

 

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