【Youtubeもやっています】こちらをクリック

藤原啓治さんの思い出

一度だけ藤原啓治さんと仕事をしたことがある。

3年前のことだ。

新しいサービスのプロモーション動画として、藤原さんに仕事をお願いしたときのこと。

療養明け直後のお願いだった。お会いした藤原さんは想像以上に具合が悪そうだった。

無理を押して収録をお願いした自分に後悔していた。

ところが、藤原さんがスタジオブースに入り、最初のテイクがスタジオに流れた時に僕は戦慄した。

スタジオに届く声は驚くほど張りがあり、僕が慣れ親しんだあの野原ひろしの声そのものだったからだ。

声の収録というのはとてもディレクションが難しい。

もう少し高く、低く、明るく、ラテン調に、おっちょこちょいに、息が詰まったように、落胆して。

演者の読解力と表現力、そして声質の合わせ技で声の仕事は成り立つ。

演技とはまた違った難しさを伴うものだ。

藤原さんの声には、圧倒された。

声だけで圧倒されたのは人生で初めての経験だった。

「とりあえずやってみてください」の指示で録る最初のテイクから、信じがたい精度なのだ。

まさに本物のプロフェッショナルだった。

もう新たに藤原さんの声を聞くことは出来ないけれど、あの時の思い出はずっと大切に抱えていようと思う。

安らかにお眠りください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。