#2 life⇆work essay「静かで騒がしい」

スリランカの海辺の街、ゴールでの出来事。

散歩をしていると、岩場のくぼみに転々と位置する傘が目に入った。

まるで貝のようにぴたりとくるまって、男女や、友人たちが思い思いの傘をさし、なにやらひそひそと話している。

その近くには大きな木が生えていて、木陰はいくらでもあったし、太陽に晒される岩場は座るだけでも汗ばむくらいに熱されていた。

それでもなお、傘を差して自分たちの空間を確保しようとする彼らの姿は、外界を遮断するという明確な意志があったし、見てはいけないものを見てしまったような、こちらが恥ずかしさを感じるような生々しさがあった。

人いきれとクラクション。音に囲まれているスリランカにおいて、そこだけはとても静かだ。

同時に、我々を置き去りにする親密な饒舌な空間が流れている。

 

2021.7.7

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